『海獣と子供』を見て
ーーー星の、星々の、海の、海をや
手短に感想を書いて備忘録とする。
まず、音楽。
久石譲が手掛けており、ジブリらしい音楽を聴けた。懐かしさがこみ上げた。
キャラクタデザインにはジブリの名残はなく、『三月のライオン』のような、鼻筋と目の輪郭に線が多い顔になっていた。何より、かつてないほどの映像美だった。手書きのようなタッチから、よりデジタルのにおいがした。圧倒的にきらきらしていた。
男子二人と女子ひとりという構図で、恋愛的のような何かもちらちら見えたが、それは恋愛というよりも、未知の魅力的なナニカに惹かれる女の子。
よく夏や台風のときに、川や海辺で死んでしまう子供のニュースを見るが、彼らはナニカに惹かれて海に落ちていくのではないか。ふと、そう思った。
ところどことおどろおどろしいしいクジラの模様、悲鳴みたいなソング、婆さんのビヨンビヨンなる楽器、呼応する隕石と太鼓。
終盤は、海の神秘なるクジラから、生命の神秘、宇宙。申し訳程度の家族事情。
人は宇宙で、宇宙は人。何千、何万と繰り返されたであろう疑問。自分もたまに考えるけど、結局なんも考えずに終わる。
クジラは言葉を話せない。けど、ソングに乗せて言葉よりももっと多くの情報を遠い遠い仲間に伝えられるらしい。人間は、こんなにも話せるのに、伝わることはいつも少ない。だから、人間にも、歌とか、踊りとか、絵があるのかもしれない。
そうそう。クジラといえば、『バケモノの子』にもクジラ出たよね。『海獣の子供』だし、何かしらつなげてるんだろうか。
ーーー「一番大切な約束は、言葉では交わさない」
大切な約束って何だったんだろうか。
お気に入りのシーンは、
るかがいらいらして教室の机を押しのけ、床に寝転がるところ、
雨の中、制服で自転車こぐところ、
おなかの中の隕石が、子宮の位置で光るところ。
性的にエロいわけじゃないが、どうしても生命の誕生みたいなテーマだと性は切り離せない。
ーーー隕石は精子で、地球は子宮。